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2019-20年ヴロツワフ大会:12/29 夕の祈りのメッセージ

以下は、テゼのヨーロッパ大会で青年たちに語られた言葉です。


「さて、使徒たちはイエスのところに集まって来て、自分たちが行ったことや教えたことを残らず報告した。イエスは、「さあ、あなたがただけで人里離れた所へ行って、しばらく休むがよい」と言われた。出入りする人が多くて、食事をする暇もなかったからである。そこで、一同は舟に乗って、自分たちだけで人里離れた所へ行った。ところが、多くの人々は彼らが出かけて行くのを見て、それと気づき、すべての町からそこへ一斉に駆けつけ、彼らより先に着いた。イエスは舟から上がり、大勢の群衆を見て、飼い主のいない羊のような有様を深く憐れみ、いろいろと教え始められた。」(マルコによる福音書 6:30‐34より)

 

ブラザー・アロイスのメッセージ

2019年12月29日(日)/夕の祈りにて

今晩、私たちの「信頼の巡礼」で最近あったことを少しお話ししたいと思います。南アフリカのケープタウンで、ケープタウンのさまざまな教派の教会から招かれて行われた青年大会についてです。

南アフリカは、アパルトヘイトに反対する力を世界に示し、そして非暴力によって変わっていくお手本となってきた素晴らしい国です。しかし、歴史の傷はなお深く、テゼのブラザーたちはこの国に2年住んでいますが、これを見て取ることができます。

白人、黒人、そして有色人種の人々には異なるライフスタイルがあり、それほど頻繁に会うことがありません。異なる区域に住んでいて、いくつかの橋が間に架かっているだけです。このようななか、5日間青年たちを迎え入れるように人々にお願いすることは難しいことでした。その青年が黒人か、白人か、いくつかの血筋をひく混血の人なのか、あらかじめ知ることができないのですから。

ある日準備の集いのひとつで、ご婦人がこのように言いました。「もちろん、恐れる気持ちはあります。でもやらなくてはいけないことだと、私たちはみな分かっています。」自分の家の戸を開き、よそ者を迎え入れることは、決して簡単なことではありません。ケープタウンでは、その困難はさらに大きなものだったのです。

大会のはじめに、2,000人の青年たちに、私はこう伝えたのです。「テゼから皆さんにお伝えできる特別なメッセージはありません。互いを歓迎しあうことによって、私たちの大会が伝えたいメッセージを生き抜こうとしているのは、皆さんの方だからです。」

私たちはそれぞれの国で、他の場所から、ときに遠い場所からやってきた人を受け入れるように招かれています。自分にとっては困難なことで、不安に感じることがあるかもしれません。同時に、迎え入れることは私たちをとてつもなく豊かにします。ポーランドでは、皆さんはウクライナから出稼ぎに来たたくさんの人々を迎え入れておられます。ですから、このヴロツワフ大会で、ポーランドの人々に次いで、2番目に大きなグループがウクライナの人々であることをとても喜んでいます。

テゼでの私たちの実体験から言えることは、難民を受け入れるにあたって、私たち自身がたくさんのもの受け取るのだ、おそらく私たちが与えるよりも多くのことを受け取るのだということです。もちろん、必ずしも簡単なことではありません。私たちが向きあわなければならなかった試練の一つは、サミールという名の若者の死です。彼は祖国スーダンを離れた後、リビアで奴隷となることを強いられ、その後、その場しのぎで作った船で地中海を横断しました。

しかし、その後フランスに到着すると、サミールはわずか数週間後に心臓病で命を落としました。大変なショックでした。その数か月後、私はスーダンに行き、彼の母親を訪ねることができました。首都ハルツームにあるささやかな家で彼女を探し出したとき、お母さんはただ泣き叫びつづけられました。

それから、しばらくたつと、彼女は背筋をまっすぐにしてこのように仰いました。「神が彼を私たちに与えられ、神が彼を戻されました。神のみ名がほめたたえられますように。」私はこの出会いを決して忘れないでしょう。お母さんの言葉を心に留めています。ムスリム(イスラム教徒)であるお母さんの言葉を。

この地上でよそ者のように生きている人々がいます。それは遠くから来たからではありません。疎外されているからです。彼らの苦しみは、孤独や見捨てられていること、虐待、あるいは病気、不安、失業によるものかもしれません。すぐに目に見える貧困もありますが、あまり目に見えない形の貧困もあるのです。

物質的にいえばなに一つ不自由がない人でさえ、どこにも属さず、地上のよそ者であるようかのように、自分の人生にどんな意味を見いだすことができるのか疑問に思う人もいます。どのようにその人たちに近づき、耳を傾け、心動かされるままに彼らに向きあうことができるでしょうか。

ただ単純に他の人に心に留めること、友愛の絆がもっとも大切な価値のひとつです。明日の朝、皆さんはそれぞれのホスト教会で、小さな分かち合いのグループに分かれてこのことを深く振り返ることができると思います。今晩聞いた聖書のテキストが助けになると思います。

イエスがどのようにして病人、仲間外れにされた人々、よそ者のところへ行かれたのか、思い出しましょう。私には今日何ができるのか、自分のなかで問いかけるとき、イエスの姿にインスピレーションを得るでしょう。

 

ブラザー・アロイス(テゼの院長)
2019年12月29日 ポーランドのヴロツワフにて


<ライブ中継の様子>

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